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更新日: 2026/4/30投稿日: 2026/4/30

修繕積立金と管理費の違いを解説|2つの積立方式とマンション購入時の注意点も紹介

修繕積立金と管理費の違いを解説|2つの積立方式とマンション購入時の注意点も紹介

サンクレイドル塚口レジデンス  2025年6月竣工

マンション購入を検討し始めると「毎月の支払いがローン以外にいくらかかるのか」「修繕積立金と管理費はどう違うのか」といった疑問を抱く方が多いのではないでしょうか。物件価格ばかりに目が行きがちですが、購入後も毎月支払い続けるランニングコストを正しく理解しておくことは、将来の家計を守るために非常に重要です。

この記事では、修繕積立金と管理費の明確な違いや、将来負担が増えるリスク、そして購入前にチェックすべきポイントを分かりやすく解説します。

繕積立金とは?管理費との違いも解説

サンクレイドル船堀Ⅲ 2024年8月竣工

マンションを購入すると、住宅ローンの返済とは別に「修繕積立金」と「管理費」という2つの費用を毎月支払うことになります。これらは名前が似ていますが、お金の使い道や目的は明確に異なります。まずは、それぞれの役割と違いについて詳しく見ていきましょう。

修繕積立金とは

修繕積立金とは、マンションの建物や設備を長期間にわたって維持・保全していくために、区分所有者全員で少しずつお金を積み立てておく「貯金」のようなものです。

マンションはコンクリートを用いて建築しておりますが、時間が経てば劣化していきます。資産価値を維持し、快適に住み続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。修繕積立金が使われる工事には、例として以下が挙げられます。

  • 10年〜15年周期の大規模修繕工事
  • 5年周期などの鉄部塗装工事 等

最も大きな出費となるのが、10〜15年ごとの周期で行われる「大規模修繕工事」です。これには外壁の塗装やタイルの補修、屋上の防水工事、給排水管の交換などが含まれます。

このように、将来発生する大きな工事に備えて、計画的に準備しておくお金が修繕積立金です。

参照元:国土交通省|令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査

管理費との違い

修繕積立金が「将来のための貯金」であるのに対し、管理費は「日常的な維持管理にかかる費用」と言えます。両者の違いを整理すると、以下の表のとおりとなります。

修繕積立金管理費
目的将来の計画的な大規模修繕のため日常的なマンションの維持管理のため
用途外壁補修、屋上防水、給排水管の交換、エレベーターのリニューアルなど共用部分の電気代・水道代、清掃費、エレベーターの保守点検費、植栽の手入れ、管理会社への委託費など
会計修繕積立金会計管理費会計(一般会計)

また、これらのお金は会計の管理方法も異なります。修繕積立金会計と管理費会計(一般会計)として明確に区分され、原則として相互流用は禁止されています。

修繕積立金の2つの積立方式

修繕積立金の集め方には、主に2つの計算方法があります。どちらの方式を採用しているかによって、マンション購入後の支払い計画が大きく変わるため、ここで確認しておきましょう。

段階増額積立方式

段階増額積立方式とは、新築当初の積立額を安く設定し、5年や10年ごとなど一定期間ごとに段階的に値上げしていく方式です。多くの新築マンションで採用されています。

段階増額積立方式の最大のメリットは、購入(新築)当初の区分所有者の負担が軽いことです。これにより、住宅ローンの返済が始まる入居直後の家計への負担を抑えることができます。

月々のランニングコストを低く抑えてスタートできるため、マンション購入のハードルが下がるでしょう。管理組合の設立総会時において、積立額の合意形成をスムーズに進めやすいという利点もあります。

その反面、将来的に負担が大きくなる点には注意が必要です。長期修繕計画に則り、修繕積立金の値上げをする際にも区分所有者の合意が必要であり、合意が得られず、計画していた工事が実行できなくなるリスクもあります。

参照元:国土交通省|段階増額積立方式における適切な引上げの考え方について

均等積立方式

均等積立方式とは、長期修繕計画の全体で必要となる費用総額を割り出し、それを期間全体で均等に割って毎月の積立額を算出する方式です。長期的に毎月の支払い額が変動しないため、資金計画が立てやすいのが大きな特徴です。将来の資金不足リスクが比較的低いため、国土交通省のガイドラインでも推奨されている方式として知られています。

一方で、段階増額積立方式と比較すると、購入当初から支払いの負担が重くなる傾向があります。住宅ローンの返済開始や新生活の準備費用とも重なる入居初期は、家計への影響が大きくなりやすい点に留意しましょう。

当初の予定よりも修繕積立金が上がる主な理由

均等積立方式を選んでいたとしても、社会情勢や建物の状態によっては、当初の計画自体が見直され、積立金が値上がりする可能性があります。ここでは、段階増額積立方式による「計画された値上げ」とは別に、当初の予定よりも負担が増えてしまう主な理由を解説します。

資材・人件費・物流コストの高騰

近年、マンションの修繕にかかる費用そのものが上昇しています。その背景には、主に以下の3つの要因があります。

  • 建築資材の値上がり
  • 人件費の高騰
  • その他の関連コストの増加

鉄筋やコンクリート、塗料などの建築資材が、世界的な需要増加や供給不足などの要因で高騰しています。さらに建設業界では人手不足が深刻化しており、工事を行う職人の人件費も上昇傾向にあります。

資材を運ぶための輸送費や、工事現場で使用する光熱費の上昇も、最終的な修繕費用を押し上げる大きな要因となっています。

想定外の工事の発生

長期修繕計画はあくまで「計画」であり、すべてが予想通りに進むとは限りません。追加の費用が必要になる主なケースとして、以下の3点が挙げられます。

  • 予見できなかった劣化
  • 自然災害による損傷
  • 法改正などに伴う追加工事

給排水管が予想以上に早く腐食していたり、外壁のタイルの浮きが激しかったりと、当初の想定を超える劣化が見つかることがあります。また、台風や地震などの災害により建物が破損し、緊急の補修工事が必要になるケースもあるでしょう。

さらに、最新の耐震基準に合わせるための補強工事や防犯設備の増設など、時代の変化や法改正に伴うグレードアップ工事が必要になることもあります。

「マンション修繕積立金に関するガイドライン」の変更

マンションの老朽化対策を重要視する国土交通省は、定期的にガイドラインの見直しを行っています。2021年および2024年に「マンション修繕積立金に関するガイドライン」が改定され、近年の工事費上昇などを踏まえて、必要な積立金の目安額が引き上げられました。

最新の「令和5年度マンション総合調査」によると、長期修繕計画に対して現在の修繕積立金の残高が「不足している」と回答したマンションは約36.6%に達しています。このように、多くのマンションで「計画の見直し」と「積立金の増額検討」が避けられない状況になりつつあります。

参照元:国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果

マンション購入時に理解しておくべき修繕積立金に関する注意点

サンクレイドル西所沢ステーションウィズ 2025 年 9 月竣工

憧れのマンション生活をスタートさせた後に「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と後悔しないために、購入前に確認をおすすめしたいポイントがあります。3つ紹介しますので、参考にしていただけると幸いです。

管理費なども資金計画に含める

マンション購入の資金計画を立てる際、住宅ローンの返済額だけでギリギリの計算をするのはリスクがあります。以下のようなランニングコストを含めて、シミュレーションを行うのがおすすめです。

  • 毎月の固定費(修繕積立金・管理費)
  • 毎年の固定費(固定資産税・都市計画税・火災保険)
  • 付帯設備の利用料(駐車場・自転車置場代等)

まず、毎月支払う「修繕積立金」と「管理費」は必須の固定費として計上します。特に修繕積立金については現在の金額だけでなく、将来的な値上がりの可能性も見越して予算組みをすることが大切です。

さらに駐車場や自転車置場の使用料、毎年かかる固定資産税・都市計画税、火災保険料、場合によっては町内会費なども発生するため、これらをすべて含めた総額で計画しましょう。

大規模修繕時に不足した場合に一時金が徴収されるケースがある

もし計画通りに積立金が集まらなかったり、工事費が高騰して資金が足りなくなったりした場合は、どうなるのでしょうか。その場合、管理組合は金融機関から借り入れを行うか、不足分を区分所有者から「一時金」として一括徴収するなどの対応を迫られます。

一時金は数十万円から、場合によっては百万円以上になることもあり、家計にとって非常に大きな負担となります。

新築の場合は修繕積立基金が徴収される

新築マンションを購入する際に「修繕積立基金」という費用がかかることを覚えておきましょう。修繕積立基金とは、月々の修繕積立金とは別に、マンションの引き渡し時に一括で支払う費用です。

まだ積立金が貯まっていない入居直後の時期から、将来の大規模修繕に備えるための「頭金」のような役割を果たします。物件価格とは別に、諸費用の一部として数十万円程度が必要になるケースが多いため、初期費用の予算に組み込んでおく必要があります。

まとめ

修繕積立金と管理費は、マンションという大切な資産の価値を守り、快適に暮らし続けるために欠かせない費用です。修繕積立金は将来の大規模修繕への「貯金」であり、管理費は日常の維持管理への「出費」という役割の違いがあります。

積立方式には「段階増額」と「均等」があり、どちらも一長一短があります。特に近年は資材価格の高騰などにより、当初の計画よりも積立金が値上がりするリスクが高まっています。マンションを購入する際は、目先の物件価格やローンの返済額だけでなく、長期修繕計画の内容や積立金の状況もしっかりとチェックし、将来を見据えたゆとりある資金計画を立てるようにしましょう。